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慈光通信 第159号

2009.2.1

生命を守る正しい農法の追求 10

 

前理事長・医師 梁瀬義亮

【この原稿は、昭和47年8月20日 財団法人協同組合経営研究所主催 第2回夏期大学における梁瀬義亮前理事長の講演録です。】

 

 

生物社会の不思議な相関関係

 

 

例えば目に見えるミミズとかオケラのような動物と目に見えないバクテリヤの間にも不思議な相関関係があります。私の地方で御所九右衛門先生という大変えらい先生が、相当長いこと調べて下さったのですが、ずっと山手の大台ケ原のふもと、あるいは山上ヶ岳のふもとのほうの自然の土地(耕作地)です。そこではだいたい1?あたり万単位のミミズやケラのような小動物がいる。それが20?位おりてきて、白銀村というような地区になると、それが千単位にかわる。五條市付近の化学肥料や農薬をどんどん使っている所になると百単位になってくることを報告なさいました。
その目に見える小動物に比例して微生物も減ってくるわけでございます。この微生物が土から消えていくのは、植物にとって非常に不利なことです。マメ科植物と根粒バクテリヤの関係がよい例です。またミミズがいなくなることも実に不利なことです。このようなわけで土が弱ってきます。地力低下がおこるわけです。この弱った土に生えてくる農産物というものは、非常に弱い。味が悪い。栄養価値が分析的に少ない。腐りやすい。こういう弱い作物に向かって病害虫が発生するわけです。先ほど申しました、生命力のない人間に病気が起こってくるのと同じ理屈なんで、弱い作物に病気がおこってくる。病菌はなんとなしに付くんじゃなくて、健康に育ったものはたとえ病菌をうつしてみても付かないんです。弱いところに病害虫が発生する。
病害虫が出ると、それっというわけで農薬をかけるわけですね。農薬には、土を殺す性質があります。これは大変恐ろしい殺し方をする。例えば、私の地方で梨畑がどうも経済的にあわないというんで、梨の木を切って畑にしてみますと、何にも出来ません。大根を蒔いたが、全然生えない。麦を蒔いたが、ほとんど生えない。やっといんげん豆が大きくなりまして、実った量が正常の1/3
ぐらいです。このように土を殺してしまう性質を持っています。
昔から西瓜を作って、そこへ砒酸塩をやった跡は、米の出来が悪いということをいいますが、その通りです。
それから農薬は、地上の動物の生態系を破壊しまして、不思議なことに、益虫がいなくなるんです。最近、農家で一番困っている油虫(アリマキ)の天敵は、七星てんとう虫ですが、それが今はほとんど全滅してしまいました。それだから、たくさん油虫がわいて、皆さん非常にお困りなんです。私たちの協力農家の農場にはたくさんの七星てんとう虫がわいています。それがおりますと、油虫をみな食ってしまうんです。
あるいは、くもが一反当り6万匹ほどおりまして、1日に20?24万匹ほどの虫を食ってしまうんです。そういうふうに、くもががんばってくれておりますと、そうやすやすとウンカも発生できないわけなんです。ところが農薬をかけますと、真っ先にくもが死んでしまう。その後に爆発的なウンカの発生が起こってくるわけです。このように天敵がいなくなると恐ろしい。
 

害虫は耐性を、人は農薬害を

 

それから妙なことに、害虫が抵抗性をおびてくるんです。例えば最近、夜盗虫というのが多くなりまして困っています。これなんかには、500倍のホリドールでも死なない奴まで出てきてるんです。非常に抵抗力が強くなってきている。益虫はいなくなる、害虫は抵抗力が強くなる、ではたまったものではない。
その上、地力が低下しますと弱い作物が出来て、害虫はよけい発生する。こういう悪循環が起こってきます。益虫はいなくなる。農家は耳かきみたいなやつで交配していかなければならない。今まで昆虫がしてくれた仕事まで農家がしなければならない。大変ですよ。
私の方は柿の名産地で、柿がたくさん生るんです。その柿の木の皮を冬になるとむかなければならない。木の皮に害虫がいるという訳です。昔はあんなことしたことがない。大変な手間です。こういうわけで、非常にまずい悪循環が起こります。
一方、農薬は人体を侵します。農薬の作用を申しますと、まず人間が飲んだら消化管から入ります。それから呼吸管から入ります。皮膚からも入ります。皆様にご注意願いたいのは、農薬には家庭で使われているものもありますね。蚊取り線香とか殺虫剤とかです。これは十分にご注意願いたいんでして、原因のわからない病気の方がこられて、その原因が蚊取線香であったり、ハエがそばへ行くと、パタパタ落ちるのがありますね。あの下で寝ていることであったりすることがよくあります。
この頃の蚊取線香は除虫菊だけじゃないんですね。必ず化学薬品を加えているわけです。最近になって、ずい分やかましくなっていますが、一時はむちゃくちゃだったんです。最近はうんと減りましたけれども、道理から考えましても、蚊と人間というのは、何千万年か何億年かかって、係わり合いを持ちつつ共に生きてきた生物です。これを蚊が住めないような環境を作ったら、人間にも住むに不都合な環境になるということは常識だと思います。だからもし、蚊がいやだったら、蚊のすめる環境のままで、蚊の入れない環境を考案する事です。蚊帳を吊っても、その中は蚊の住める環境です。蚊や蝿がおれないような環境を作れば、人間もおれないということは、常識で考えたらわかりそうなものと思うのです。
だから毒物でもって、毒性をおびさせて、それでもって蚊が死んでしまうという世界は人間にとっても不利である。たとえ人間が死なないにしても、人間の生理作用に何か悪い影響のあることは当然であって毎晩蚊取り線香をたいて寝ている方は、朝起きると妙に頭が痛かったり、肩がこったり、いろいろ変化がおきるのであって、私は蚊帳をさかんに薦めている。かやの製造業者から非常に感謝されたわけなんですが、奈良県はかやの名産地だったんです。蚊取り線香のおかげで倒産が相次いだんです。最近それが非常にぶり返しまして、世論の力はえらいものだと思うんです。ぜひ家庭農薬に気をつけていただきたい。
私の知っている人で、蚊が嫌いなので、毎日アースを顔や手にぬっている方があったんです。この方は脊髄まひをおこして、すでに七年間寝たきりです。アースに人畜無害と書いてあったのを信じてやったのが不幸のもとでした。みなさんもご注意願いたい。やはり、蚊といえども、蝿といえども、われわれと同じ世界に住む生物で、何千万年かかって生き残ってきたものだから、へたに殺してはだめなんだということです。なにも蚊をたくさん増やせというわけではないのですが、方法を考えなければいけない。
(以下、次号に続く)

 

 

青汁の事(1977年 芝(し)蘭(らん))
遠藤仁郎(倉敷中央病院院長)
イモ・マメ・ナッパ・青汁

 

 

また、なるべく安全な食品をえらび、危険農薬や工場・鉱山の廃棄物、あるいは添加物などに汚染された食品や、そのおそれのある加工食品、既製食品など、有害有毒食品はつとめてさけること。
そのため、私どもは、主食には、栄養的にも安全性にもすぐれたイモ類を、蛋白食には大豆ものを主とし、これに十分の良質安全なナッパを主体とする野菜・山菜・海藻などを添えたイモ・マメ・ナッパ・青汁食をすすめている。
なお調理は簡単に、調味はなるべくうすくする。

 

 

青汁絶食

 

 

比較的はやく効果が出るのは、青汁絶食。絶食して青汁だけを飲めるだけ多く飲む。これを2?3日ないし数日続けてみる。
痛み(神経痛、化膿痛、頭痛、歯痛など)がすみやかによくなり、高血圧がうまく下がる。喘息発作がおさまり、腎炎、肝炎、その他の初めに試み、しばしば著効をみる。

 

 

注腸・鼻腔注入

 

 

扁桃炎や、意識障害で飲めないばあいは、注腸・鼻腔注入してもよい。

 

 

健康食

 

 

緑葉食・青汁にしても、イモ・マメ・ナッパ・青汁食にしても栄養の完全化・安全化(合理化・自然化)がねらいだから、本来は健康食、病気予防食である。
体調よくなり、疲れず、仕事の能率があがる。スタミナがつく。老化が遅れ、若返る。(年とともに量を増すとよいようだ。)
体が弱いもの、病気のものはもとより、頑健と思っているものも、転ばぬ先の杖として、せめて青汁だけでも飲むべきだと思う。

 

 

病気しなくなる

 

 

風邪をひかず、化膿しなくなる。虫がわかず、虫歯ができない。
暑がり(夏ばて)、寒がり、冷え性がなおり、肩こり、腰痛、耳鳴り、めまい、乗り物酔いがなくなる。
月経・妊娠・更年期などの障害もほとんど出ない。
それから本当の健康は、これによって得られ、長生きもできるのではないか、という気がする。

 

 

丈夫なこどもを生むために

 

 

もっともすすめたいのが、丈夫なこどもを生むため妊婦が飲むこと。
ナッパ、青汁を中心とした安全完全食をとれば、妊婦の健康状態はいつも良好。したがって薬害や、放射線害を受けることも無く、妊娠の経過は順調。産は軽く、乳の出もよい。
新生児はむやみに大きくはないし(3キロもつれ)、皺だらけの顔はしているが、元気はよく、骨組みは強い。よく出る乳で、着実に大きくなる(むかしからいう、小さく生んで、大きくそだてる、の理想どおりになる)。

 

 

赤ん坊にもなるべくはやく

 

 

赤ん坊にも、なるべく早くから飲ます。サジでなめさす程度ならば、生後すぐからでもよい。もちろんキジのまま、砂糖は絶対入れない。
だんだん増やしてゆくと、やがて、5勺(編注:約90?)でも1合(180cc)でも平気で飲むようになる。そして発育がよく、イジもよい。めったに病気せず、そだてよい。また、物心つく頃になると青汁は大の好物で、あまい菓子(好く筈の)はいやがるという、世にも不思議な現象に驚かされる。
これは、今の子供の健康が、甚だしく砂糖によって毒されている事実と思い合わせ、注目すべきことといってよかろう。

 

 

青汁給食

 

 

弱い子供の多くは偏食、ことに野菜嫌いのためだが、青汁給食を実施している幼稚園や小学校のすばらしい成績―体格・体力・健康状態だけでなく、頭もよくなる―から、その普及を祈らずにはいられない。
(以下、次号に続く)

 

農場便り 2月

 

 

わが国には日本独自の素晴らしい感性が宿る。四季折々の風景に美を見出し、より高い精神世界へと自分自身を研く。古の時代より受け継がれてきた侘び寂の世界が衣・食・住すべてのものの中に求められる。
わが家の庭に古木のロウバイが冬空に花を咲かせる。私が幼い頃に父が植樹したもので、父はこの木をこよなく愛していた。師走頃よりつぼみが綻び、新年には地味ではあるが小さな美しい花を咲かせ、かすかな甘酸っぱい香りを庭に放つ。毎年、小枝を正月花として各部屋に生け、この花と共に新年を迎える。それぞれの家庭には色々なお正月の過し方がある。日頃から口卑しい私は、正月には美酒、美食に酔う。三が日を過ぎると身体の動きが鈍くなり、血液のにごりを感じる。近づく仕事始めに合わせ、4日の夜より酒を断ち(少しだけ…)菜食に変え、初日に行う高所の屋根掃除に備える。また慌ただしい日々が始まる。
農場の野菜は寒さに耐え、出番を待つ。寒くなると野菜は糖度を上げ、水分量を下げ、凍傷から身を守る。寒ければ寒いほど冬野菜が美味なのは、寒さから自らを守ろうとするからである。しかし、現代の若い世代の家庭では、昔からある菜っ葉を口にする事はほとんど皆無と言ってもいいのではないだろうか。食生活が西洋化し伝統食は年々忘れ去られていく。冬季、不足気味になるビタミン類は、昔からの伝統野菜より摂取するのが望ましい。近代人はサプリメントに頼る傾向にあるが、ほとんどの栄養分は体内を素通り状態で、体に吸収される量はごく僅かだそうである。ビタミン、その他ミネラルなどの栄養成分はイモ・マメ・ナッパから大自然の免疫力をいただき、健康に過したいものである。大自然からいただいた免疫力は、今年大流行のインフルエンザからも身を守り、仮に発病しても短時間で治癒し、軽くすむ。
魔の手から身体を守ってくれる野菜も今や化学肥料や化学薬品などの薬漬けとなり、近代農法で育った作物は見た目はきれいで立派であるが、栄養価が低く、味が悪い。野菜の育成中に使用された残留農薬は、人体に悪影響を及ぼす。朝採り野菜などと鮮度をうたったものや安価、生産者のロゴ入り、朝市などと色々な野菜が出回っているが、これらの作物が決して安全であるとは言えない。野菜の原点は自然の中、完熟堆肥で育てられた無農薬野菜であるということを、今一度再確認していただきたい。母なる大自然は、私たちを生かそうと手を差しのべる。その恩恵を素直にいただき大地の恵みに感謝する。また本年も折にふれ野菜の栄養価などを紹介させていただく。
大晦日、除夜の鐘にて108つの煩悩を拭い去り、清く美しい心になる。が、年が明けると人々は神社の鳥居をくぐり、又煩悩を胸に神様の前に手を合わせ、願う。元旦 音楽の都ウイーンよりニューイヤーコンサートの様子が世界各国に発信される。平和と祈りを込めた美しいワルツの調べが私たちを楽しませてくれる。しかし、その一方では寒空の下、食にありつけず路頭に迷う人々の姿もある。当会でも新年の仕事始めに西成の路上生活者に炊き出しをする団体に卵1500人分やたくさんのじゃが芋などを寄付させていただいた。温かい炊き出しに一瞬でもほっこりした気持ちになってくれればと願う。
会員の皆様の健康とやすらぎを願い、この一年全力で畑を耕し、種を蒔き、作物を育てる。すべて大自然のお導きのままに。本年も慈光会の活動にご理解とご協力を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。

 

 

 

寒さで耳が霜焼けになる農場より