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有機農法について

梁瀬義亮(やなせぎりょう)財団法人慈光会 前理事長 梁瀬義亮(1920-1993)

この文章は,1979年に記されたものに、1989年、梁瀬義亮前理事長が自ら訂正を加えたものです。従って1989年当時の農法について記されております。現行農法と基本については、変わっておりませんが、多少異なっているところがありますので、ご了承下さい。

(現行についての文章は、現在検討中です。)

緒言(1952年)

昭和二十七年(1952年)秋、私は現代の農法(近代農法)はただ量産と外観のみを目指した誤った農法であって、農業本来の目的である「健康」と「生命」ということを忘れていることに気付き鋭意「健康」「生命」を主目的にした正しい農法の研究に努力したのです。同時に農民の農薬による健康障害については特に注意深く観察し又警告をつづけて来ました。(1959年)

昭和三十四年二月私は化学肥料(以下化肥と略称)と農薬を主体にした近代農法によって十年乃至二十年後には農村に癌、白血病、胃潰瘍、肝臓疾患、腎臓疾患、内分泌疾患、リューマチ性疾患、其の他の新陳代謝異常疾患、又様々の精神障害、特にうつ病、原因不明の或は些細な原因による発作的、狂気的犯罪や自殺や交通事故が多発することが必至との確信に到達し、データーと意見をパンフレットにして全国に配布し、又国会に毒性の強い農薬の即時禁止、低毒性農薬の五年後の禁止、そのための近代農法の見直しと日本古来の農法の国家的規模の研究を請願したのであります。同時に現在の財団法人慈光会の前身である「健康を守る会」を組織して協力農家と共に完全無農薬完全無化肥の有機農法の研究を行って参りました。すなわち完全無農薬無化肥の有機農法が、農薬使用により昆虫の生態系が異常になった現在に果して可能であるか否か、可能であるとしても経済的或は労力的に可能か否か、生産量や品質如何、等の研究であります。すでに稲作は二十一年、そ菜は三十年果樹は二十年実施し略満足すべき成果をあげて二千七百世帯の慈光会会員に頒布し、味、香り、日持ち等抜群とよろこばれています。外観も見劣りしません。勿論複雑極まりない自然の中の営みですから、まだまだ、匡正、添補すべきことも今後数多く出るかと存じますが、今迄に分った原理と注意事項を申し述べさせて頂きます。

第一章 近代農法を振り返る

植物を土から引き抜いて、枯らし、高熱で焼いて灰にし、それを酸やアルカリ其の他様々の化学薬品を用いて分解して窒素と燐と加里を得た。だから窒素、燐、加里を含んだ化学薬品を人工的につくってそれを施せば植物を十分に生育する。この化肥の概念自身に既に、生命という事実、土中や地上の生態系の一員であるという事実が見落されているし、高熱、酸やアルカリをはじめ様々の化学薬品という自然に無い条件が加っている。化肥の概念そのものに欠陥が見られます。さて化肥を土壌に施すとその土壌は物理的・化学的・生物学的に作物の成育に極めて不利な状態になります。すなわち物理的には団粒組織が単粒化して、通気性、保水性、保温性がなくなって根は弱ってしまい、化学的には土壌は酸性化し様々の大切な元素が或は流亡し、或は吸収不可能の状態に変化してしまい、生物学的には、作物の生存と成育にとって極めて大切な土中の様々の生物(バクテリア、カビ、藻、原生動物、みみずやだに等の様々の動物__所謂土中生態系)が死滅してしまいます。この様な所謂「死にかけた土」に生育する作物は正しい栄養を吸収出来ず、化学薬品だけを吸収して成育し形こそ大きいが(生命カの弱い)栄養、風味に欠陥のある作物になります。恰も自然のたべものをたべずにインスタント食品のみをたべている人がよく病気する様に、こんな作物に病虫害が発生するのです。

病虫害が発生すると農薬を用います。農薬は益虫も害虫も同時に殺してしまいます。そして一時的には人間は百パーセント作物を独占します。しかし害虫というのは草食性昆虫です。草食性昆虫はこの地上に於て最も生命カ、適応性、生活力のつよい生物で、必ず三年乃至五年すると農薬に抵抗性を獲得するのです。それに反して益虫は肉食性昆虫です。このものは農薬によって死滅してしまいます。結果は農薬を使えば使う程、農薬に抵抗性のある害虫が量、種類共に増え、益虫が居なくなり、人間にとって不利な昆虫の生態系が出来上り農民はますます多く且つ強く農薬を使わねばなりません。農薬は口から、気道から、皮膚から、人体に侵入し脳、目耳等の感覚器、自律神経、内分泌系、様々な内臓器管を侵蝕し十年乃至三十年かかって人体を破壊してしまいます、緒言に書いた様々の病気や事件がそれです。消費者も残留農薬によって侵されます、現今の低毒性(低毒という意味は急性中毒を起しにくいということで無毒という意味ではありません。)有機燐剤は早く分解して蓄積性がない、従って慢性中毒は起らないというのは嘘です。農民は健康がすぐれず殊に脳の毒ですから欝病状態になって労働意欲が減退し堆肥をつくるのが憶劫になってますます化肥に頼るようになり、ここに(幾重にも)悪循環が起るのです。結局化肥、農薬を主体にした近代農法は「土を殺し」「益虫を殺し」「人を殺す」「死の農法」だったのです。以上を図示すれば次の如くなります。

(註 化肥を堆肥と併用する時は化肥の害の起こり方は徐々になります。一見、土は弱らないように見えますが、徐々に地力は弱り十年、二十年しますと土が悪くなって作物が出来にくくなります。又病虫害が多くなります。)

死の農法 農薬の障害作用

第二章 「生命の農法」-その原理と注意事項

第一節 生態学的輪廻の法則

雨が降って地上を流れ或は地下に浸透して河に入り、海に入り、太陽熱によって水蒸気となって蒸発して雲になり、再び雨となって降下します。この「水の輪廻」の中にあらゆる地球上の生命が生きさせて貰っています。若しこの輪廻をどこかの点で切りますと忽ち旱魃が起ってあらゆる生命は死に絶えるでしょう。植物と動物に跨がった「酸素の輪廻」に於ても同様です。今ここに水や酸素の輪廻と同じように大切な、あらゆる生命がよってもって生かされている大切な輪廻があります。それは「生態学的輪廻」です。

(イ)植物は生産者です。__人間の想像を絶する様な不可思議な大合成を植物は太陽のエネルギーを用いて行ってくれます。そして動物に有機物を供給してくれるのです。あらとうと青葉若葉の日の光(芭蕉)

(ロ) 動物は消費者です。__植物から合成した有機物を食べて動物は生存するのです。肉食動物は草食動物を食べることにより間接的に植物を食べています。

(ハ) 微生物は分解者です。__動物の排泄物や死骸、植物の屍体である枯草や落葉をバクテリアやカビ等の微生物が分解してくれます。分解し終ったものが堆肥です。この堆肥そのものが植物のたべものですが、又その堆肥は地中に入ってそこにすむ数限り無いバクテリア、カビ、藻、ダニの様な様々の小動物やみみずの様にやや大きいもの等々(土中生態系)のたべものとなります。

「土中生態系」が生産する蛋白、脂肪、炭水化物、ビタミン、酵素、其の他の数多くの複雑な有機物は、水や土中の無機物と共に大切な植物のたべものです。そしてあの複雑な有機質を合成するのです。これを図示すると左の如くなります。

この輪廻が正しく行われる限り大森林の大地は何万年経っても次々と大木を育て大草原は次々と草を茂らせ、人間の田はいつまでたっても地力が衰えず次々と人間にたべものを供給してくれるのです。この輪廻をどこかで切りますと、大地は死んで砂漠となり生命は死滅するのです。現在のエジプトや中近東の砂漠の中には人間が家畜を飼いすぎて生態学的輪廻を植物のところで切ったために現れたものが相当多いのです。化肥や農薬は土中生態系のところでこの輪廻を切断します。今やアメリカでは実に広汎な農地が砂漠化しつつあり大問題になっているのもこのためです。日本では雨が多く雑草がよく繁茂するので所謂砂漠にはなりませんが、次第に地力がなくなり作物を育てる力に於ては砂漠的になってきたのです。

第二節 好気性、完熟堆肥

山の中で厚く積った落葉を掘り起しますと底の方は黒褐色でぱさぱさして土の様になっています。そしてぷーんと香ばしい臭いがします。決して悪臭はしません。そして木の細い根がしっかりからんでいます。これが好気性堆肥の一例です。それに反し台所のごみをバケツに入れておきますと日が経つとべたべたしたとても悪臭のあるものに変ります。これが嫌気性堆肥の一例です。前述の生態学的輪廻の中で微生物は分解者であると申しましたが、その微生物の中に空気の流通のよいところで活躍するものと空気の流通の悪いところで繁殖するものとがあります。前者を好気性微生物、後者を嫌気性微生物と申します。好気性微生物によって出来た堆肥が好気性堆肥、嫌気性微生物によるものが嫌気性堆肥です。山の落葉は好気条件にありますから好気性微生物が繁殖して上述の様な香ばしい堆肥になりました、台所のごみは水分が多くて空気が通りにくい所謂嫌気条件ですから嫌気性微生物が働いて悪臭あるべたべたした堆肥になりました。さて植物のたべものは堆肥でも好気性堆肥です。然も十分に分解が完了したもの「完熟」でなければなりません。所謂好気性完熟堆肥でなければならないのです。

嫌気性堆肥は植物にとって毒作用がありこれを土中に施しますと植物は一時的にくろぐろして急に発育しますがそれは刺戟作用であってまもなく病虫害にやられます。又その作物は、成分的に人体に有害な成分を含んでいて味が悪いのです。未熟な堆肥はたとえ好気性のものであっても土中へ鋤きこみますと土中は空気の流通が悪いので嫌気性に変って植物に害を与えます。必ず好気性完熟堆肥をつくって作物に施さねばなりません。完熟するためには半年から一年以上かかります。好気性にするため堆肥材料には五十パーセント以上藁や枯草や落葉、オガクズ(外材はよくない)等の植物性のものを用い且半年に数回位切り返して空気を通さねばなりません。(この際水分の量を適切にすることが大切ですが水分は多すぎないことにご注意下さい。)切り返し作業はトラクターのバケットを利用したり或は耕転機でかき廻したり、いろいろ楽に出来るよう工夫します。昔はしのべ竹の束を刺しておいたりしました。好気性完熟堆肥を施す量は夫々作物によって異りますが大体稲作で反当たり2トン、野菜では3~5トンですが茄子やキュウリは大量を要します。(後述)

施す時期ですが、好気性完熟堆肥は落ち葉の落ちるころに施してしまいます。秋作には堆肥を施さずに追い肥でおします。

(註 この際油粕を追肥に使うときは八月、九月の間は、うすくまいて下さい。油カスの固まりの出来るようなまき方をしますと黒くどろどろして来て、病虫害のもとになります。)

これは九月に大発生する虫害を防ぐためです。完熟した堆肥にも一部には未熟な部分もある筈ですから、八月末から十月はじめまでの虫の大発生期までに土中ですっかり完熟させてしまうと虫害が防げるのです。

更めて堆肥が好気性完熟であることと、それを大地に施す時期は木々の落ち葉の落ちるころということを強調いたします。

第三節 其他のことども

(イ) 施すべき時が来て然も堆肥がやや未熟である。或は嫌気性気味であるとき、この時は鋤きこまずに地上へ置いておいて下さい。自然に好気性完熟堆肥になります。肥効も変らずあります。

(ロ) 病虫害の発生したとき___この時は残念がらずによい研究の時と思い、よくよく肥培管理を反省して下さい。病虫害は私達にその作物のつくり方が誤っていること、従ってその作物が私達に有害であることを示しているのです。化肥や除草剤を使わずに有機質だけでやっている場合は必ず堆肥が未熟であったことが気付かれます。例えば大量の青草をそのまま鋤きこんでしまっていたり等々。(草が余りたくさん茂っているときは、浅くロータリーをかけて倒し一ケ月位おいてすっかり枯らしてしまうこと)害虫は私達への警告者です。敵ではありません。

(ハ) 二、三年毎に田と畑を輪作することはよいことです。

(ニ) 堆肥は播種したり、植付けしたりする一ケ月以上前に鋤きこんでおいて下さい。所謂「土になじます」ためです。

(ホ) 生の油粕や綿実粕を施す時は必ず地上に作物より可成り離してまいて下さい。決して土中へ入れぬことです。鶏糞はたとえ乾燥したものでも五月から十月末までの気温の高い時期には地上にでも施さないで下さい。虫害、特に夜盗虫やアブラムシの大発生の原因になります。
鶏糞は必ず堆肥に積んで十分ガスを抜いてから用いて下さい。特に好気性完熟が大切です。

(ヘ) 八月末より九月一杯十月上旬までは地上に藁や枯草その他虫の棲家になったり、たべものになったりする有機物をおかないで下さい。この時期には有機物のマルチングは反って虫害の原因になることが多いのです。

(ト) 苗床や畑に直接播種する時は堆肥は十分に好気性に完熟したものを用い、早い目に(出来れば一ケ月位前に)施して十分土になじませて下さい。堆肥に生しい部分が残っているとその部分は種が発芽しても根が腐ってしまいます。

(チ) 茄子は肥料切れしますとダニやテントウムシダマシにやられます。必ず十二分に元肥を施し、更にしっかり追肥を忘れないで下さい。夏に水がきれても肥料切れと同じになります。

キュウリも同様に肥料食いです。但しこの場合病気に弱いですから特に元肥の好気完熟に御留意下さい。

(リ) 西瓜やマクワははじめ余り土を肥やしますと「蔓ボケ」して実が成りませんから可なり肥えた土ならはじめ無肥料で植えます。第一果がピンポン玉位になったとき、これを切ってすてますが(ツヂ成りと云って変形、棚落ちする)その位から肥料を与えます。或ははじめから遠くへ一米以上はなして油カスと堆肥を施しておいてもよろしい。トマトも同様ではじめは余り肥やさずに第一果がやや大きくなりかけてから施肥して下さい。一般に果菜類や果実類は追肥を忘れないで下さい。

(ヌ) 石灰は年に一回、或いは二回に分けて十アール当り年間総量五~十袋位施します。この際地上に散布しておいて二週間位して鋤きこむ方がよろしい。

消石灰、苦土石灰、硅カル、炭カル等年々種類を変えて下さい。最近はスモッグの影響で酸性の雨が降っています。ただでさえ火成岩性の酸性土壌の日本の土にはますます堆肥と共に石灰が必要になって来ます。石灰は土を固くしますが堆肥と併用しますと反って土を軟かくします。

(ル) 堆肥材料として雑草は実に有効なものです。出来るだけこまめに草を刈って、必ず一度乾かして枯らしてから堆肥にして下さい。又、八月末から十月上旬にかけての害虫の発生期に雑草を生やしますとそれが害虫の住家になりますから、特に気をつけて下さい。但し、七、八月の旱(ひで)りの時に雑草を抜きますとよけい乾害が甚しくなりますから、そんな時はそのまま放置するか、やむを得ぬ時も刈り取るだけにして下さい。果樹の草生栽培の場合も夏期と秋期には毎月一回は必ず草を刈って下さい。特に果樹の根元はきれいにして下さい。除草剤は土を殺しますから除草の意味がなくなります。

(オ) ミネラルを補給するため海藻でつくられた肥料や水成岩の粉を用いるのはよいことです。海藻は高価ですので私達は海藻の溶液を葉面散布していますが仲々有効です。
雑草、特に未耕作地のそれ(未耕作地の雑草は耕作地の雑草よりもミネラル分が多い)はミネラル補給の意味でも大変有効です。人工の微量要素肥料の使用は反対です。

(ワ) 果樹栽培について
果樹は特に土地、気候に対する選択性がつよいようです。私達のところでは柿、桃、梅、みかんは適地ですから完全無農薬で立派に出来ていますが土地に適さないものは病虫害、特に病害にやられます。しかも林檎は中央アジアの原産ですから火成岩性の酸性土壌、モンスーン気侯の日本での栽培は仲々むつかしいと思われます。しかし目下、青森、盛岡、長野等で私の知人は林檎の無農薬栽培に大変な努力をしてくれています。

おわりに

人間が自然に生かされているという事実、更に自然に生かされている数限りない生命の織りなす生態系の一員としてのみ生存を許されているという事実を見落して人間が自然を、そしてあらゆる他の生命体を征服し、自由に殺し奪うことによって幸福を得ようとする理念の上に立った近代文明の中で、今や人類は自らつくったものによって奪われ殺されようとしています。公害と核兵器がそれです。農業も然りです。

近代農法は「殺す」「奪う」という発想の上の農法です。これは人類をして食物と健康を失わしめ、人類を殺すのです。完全無農薬有機農法は大自然によってその生態系の一員として生かされる農法です。奪わずして与えられ、殺さずして生かされるという理念の上の農法であります。今一度太陽に生かされ、大地に生かされ、一切の生態系に生かされる人間であることを思って太陽に、土に、そして数限り無い生命に感謝したいと思います。


以下の補稿は、「生命の医と生命の農を求めて」梁瀬義亮著(地湧社刊)に1991年著者により書き加えられたものです。

補稿(Ⅰ)

以上、完全無農薬有機農法の理論と実技について申しあげた。私達は二十数年間、これによって健康な農作物を供給し続けて来た。

しかるに三十年来予想し、恐れていた事態が現実となって現れて来たのである。最近十年来、徐々に、そして特にここ五年来は甚だしいのであるが、自然界にいろいろ人工的な異常現象が起こって来た。愚かな文明はついに慈母なる大自然を慈母たらしめぬようにしてしまったのである。自然破壊は凄まじいばかりに進行している。

好気性完熟堆肥による土つくりの重要さは、ますます増して来たのであるが、それだけでは追いつかず、さらにその他のいろいろの注意事項が必要となって来た。

人工的な異常現象とは、
(1)過去三十五年間の異常な、農薬使用過多による昆虫生態系の激しい異常__益虫の滅亡、害虫の種類・量ともの異常増加、殊に抵抗性害虫の出現と、(2)酸性雨、(3)集中豪雨、(4)旱魃(かんばつ)・長雨、(5)異常に強力に繁茂する外来雑草の出現、などである。

農薬使用の規制の厳重化、工場煤煙に対する規制の厳重化(CO2や硫黄や、窒素化合物等々について)、熱帯雨林の保護、リサイクル運動強化等々、抜本的な対策の必要なことは言うまでもないが、さしあたって農業者の注意としては、

(1) 異常昆虫生態系に対するためには、完全無農薬有機農法の実施者を増やすことによる昆虫生態系の恢復への努力とともに、病虫害に強い農作物の品種を選ぶことが大切で、農民は互いに知識の交換を多くすることが肝腎でがある。

(2) 酸性雨に対しては、土壌の酸性化防止のため、石灰の使用を多くすること余儀なくされる。が反面、石灰は土壌を固くし、また土壌のミネラルのバランスを壊す。これを防ぐため、好気性完熟堆肥の施肥量を増加する必要が大きくなるが、それと共に無機石灰とともに有機石灰(貝殻等)をより多く用いることが大切で、殊にこれは砂地よりも粘土質土壌においては、特に考慮すべきである。また、作物によってはビニールを用いた雨よけ栽培を余儀なくされる。

(3) 集中豪雨のためには播種時のモミガラ、藁などによる被覆を大切にする。また寒冷紗の使用も考慮する必要がある。

(4) 長雨の害は深刻である。畝を高くすることと、排水の注意が大切である。

(5) 強力な外来雑草(外来スイバ等)に対しては水田と畑作の輪作が最も有効である。

(6) 常畑は常に気を付けて早期に掘り起こして枯らすことが大切である。

その他、非常用の農作物として、異常気象に強い作物を常に栽培作物に入れることが必要である。

補稿(II)

全世界、特にアメリカ、カナダ、オーストラリアなど主要農業国においては、近代科学農法実施の結果、土地の荒廃・砂漠化が広範囲に出現し、憂うべき事態である。速やかに有機農法を実施し、地力の恢復を計らねば、恐るべき世界的飢餓に襲われる公算は甚だ大である。他面ゴミ問題は、近代文明社会を脅かしている。

以上の見地より全世界は、一致協力して工業の縮小とともに、農業の重視に踏み切るべきであり、また農業は完全無農薬有機農法を目標とすべきである。そのためにまず各国政府は率先指導して(あるいは地方自治体を動員して)、あらゆる生ゴミの堆肥化、土壌への還元を果たすべきである。

おわりに

今や、環境破壊による人類滅亡が現実化しつつあり、全世界の学者や心ある人々によって危機が叫ばれている。完全無農薬有機農法の全世界的実施の一日も早からんことを祈ると共に、母なる大自然への畏敬、人類が互いに仲良くすること、一切の動植物の生命に対する尊重(生態系への畏敬)、もと質素かつ生活物資尊重の生活の重要さを感ずるのである。

慈光会は、1959年(昭和34年)に、世界に先駆けて農薬の害に警鐘を鳴らした故梁瀬義亮(やなせぎりょう)医師によって、健康を守る会として、立ち上がりました。
1974年には、財団法人の認可を受け、財団法人 慈光会となりました。
慈光会は、非営利団体であり、その目的は、次の通りです。

  1. 完全無農薬有機農法の研究と実践
  2. 完全無農薬有機栽培された農産物、及び、無添加純正食品の販売
  3. 農薬公害、食品添加物公害、様々な環境問題に対する調査、研究、及び啓蒙活動
  4. 公害問題の根本を正す、豊かな情操、真の教養のための文化活動

(梁瀬義亮前理事長の遺した『慈光会とは』をご一読ください。)

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